新潟県が米の新機軸を提案する水稲新品種「新之助」。本章では新之助の特徴について、
食味官能試験や理化学分析、物性調査の結果等とともにご紹介します。
コシヒカリとはベクトルが異なるおいしさを持つ米を提供したい──新潟県では、新潟県農業総合研究所を中心として新品種の開発を進めた結果、ついに「新之助」が誕生しました。「新之助」は食味官能試験の結果、外観、香り、味、粘り、硬さ、そして総合評価のいずれにおいても、新潟コシヒカリと同レベルの高い評価が得られています。しかしその特徴は大きく異なります。
大粒できれいなツヤのある「新之助」は、ほんのりとした香り、豊潤な甘みとコク、しっかりした粘りと弾力を併せ持ちます。そしてそれらの結果として、その食味は高く評価されています。
新品種「新之助」と代表的な米の品種について、それぞれの味を味覚センサーにより数値化を行った結果、米のおいしさに関連するコク、味の厚み、濃さ・ボディ感、旨味、甘味すべてにおいて、「新之助」は平均値よりも高いことがわかりました。特にコクと甘味、味の厚みに特徴があり、その数値は他道府県産の代表的な品種とは大きく異なることがわかります。この味の積み重ねが、「新之助」の豊潤なおいしさの源となっているのです。
「新之助」には、理想的な比率で、タンパク質とアミロースが含まれています。
「新之助」の表層は、他品種と比べて硬めでありながら、粘りが強いことがわかりました。しっかりとした粒感と粘りが両立しています。
「新之助」は他品種に比べて、ごはんが冷めても、表層や粒全体が硬くなりにくく、おいしさを保ちます。
「新之助」は他の品種に比べて、高温下での長期貯蔵後でも脂肪酸度が低く、品質が低下(古米化)しにくいことがわかりました。
※脂肪酸度:貯蔵中の脂肪酸分解の指標。高いほど品質が劣化していること示す。
「新之助」は 他の品種に比べて、貯蔵における米飯物性の劣化が少ないことがわかりました。このため長期貯蔵を行っても、そのおいしさを保ちます。