米市場の動向

日本の米市場は近年、めまぐるしく変化を遂げ、多様化の時代を迎えようとしています。
この米市場の変化について、専門家の意見を交えてご紹介いたします。

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美味しさの秘密

米市場の動向

近年の米市場のトレンド

おいしい米の象徴として生産が集中した「コシヒカリ」─しかし近年は品種が多様化

日本の米のなかでもコシヒカリの人気は突出しています。コシヒカリの作付面積が急速に増えはじめたのは1970年代以降です。それ以前から米生産に余剰が見られはじめ、昭和45(1970)年に本格的な生産調整がはじまりました。これを受け、数多く収穫する多収性から少量でも味の良さへと、米づくりの重点が変化した時期と重なります。

昭和45(1970)年に全国の作付面積に占める割合が5.9%だったコシヒカリは、昭和54(1979)年に13.2%になり、品種別作付面積で1 位になりました。そして、平成8(1996)年に作付面積に占める割合が30%を超えてからも、その比率は上がり続け、トップの座を不動のものとしました。

しかし近年の水稲の品種別作付面積を見ると、コシヒカリの割合は、ピークを迎えた平成17(2005)年を境に、微減微増を繰り返す状況が続いています。そしてこれと同様の傾向は、他の代表的な品種にも見られます。全国の作付面積に上位10 品種の合計が占める割合は、平成17 年産から減少が続いているのです。これらのことから近年において、米の多様化が少しずつ進んでいることが考えられます。

食味の評価が高い米の銘柄が、近年大幅に増加している

米の評価として著名なのが、日本穀物検定協会による「米の食味ランキング」です。試食による食味試験に基づき、基準米より特に良好な「特A」から、良好な「A」、おおむね同等な「A'」、やや劣る「B」、劣る「B'」までの5段階で評価されます。

最も高い評価である「特A」は平成元(1989)年産から設定され、平成元年産で特A の評価を受けたのは13 銘柄でした。その後、平成5(1993)年産は記録的な冷夏による大凶作のため、評価対象となる銘柄が少なく、新潟県魚沼地区のコシヒカリのみとなったものの、平成10 年代まで15 銘柄前後で推移しました。しかし近年を見ると、平成20(2008)年産が20 銘柄を超えた後、平成23(2011)年産以降で大幅に増加している傾向が見られます。米の育成技術の進化、良質な新品種の開発などにより、日本の米の食味が確実に向上していることがわかります。

Interview

小池 理雄氏

日本の米は多様化の
時代を迎えている

小池 理雄氏
小池精米店 三代目店主・
お米マイスター五つ星

菅 慎太郎 氏

日本人の米の嗜好は、
食生活の変化によって変わってきた

菅 慎太郎 氏
味香り戦略研究所味覚参謀
口福ラボ代表

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