開発ストーリー

新潟県が平成20(2008)年から開発を進めた新品種「新之助」。
本章では新潟県が「新之助」の開発をはじめた経緯と、その開発プロセスについてご紹介します。

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開発ストーリー

新品種「新之助」の開発経緯

コシヒカリ集中のリスクに備えた新品種の開発

米どころとして知られている新潟県の米は、長年つくられてきたコシヒカリによって、高い評価を受け続けてきました。その結果、新潟県における品種別作付面積においてコシヒカリの割合は高まり、現在では約70%を占めるに至っています。これに対して、新潟県ではコシヒカリへの集中が進むことにより、県全体の米の栽培時期が重なることがリスクとして考えられるようになりました。米の品種は収穫期が早い順に、早生、中生、晩生に分類されますが、新潟では中生に相当するコシヒカリに集中すると、気象災害による被害が拡大するほか、収穫作業が集中することで生産コストの増大が懸念されます。またその一方、近年の嗜好や食のシーンなどの多様化により、これまでよりも多くのニーズが米に求められるようになってきました。そのため新潟県では新潟県農業総合研究所が中心となり、新品種の開発に努めてきました。

日本全国の品種別作付割合で10 位にまで上昇した「こしいぶき」

新潟県では平成に入ると、コシヒカリの作付面積の割合が急速に高まりました、それを背景として新潟県農業総合研究所により、平成12(2000)年に開発された新品種が「こしいぶき」です。こしいぶきはコシヒカリよりも収穫が早い早生品種です。これまで早生品種は食味面で劣るとされてきましたが、コシヒカリに匹敵する食味を持つ早生種として開発することに成功しました。

平成12年に新潟県の奨励品種として指定された「こしいぶき」は、平成25(2013)年には品種別作付面積で18%を占めるまでに至りました。その結果、日本全国の品種別作付割合(平成26 年産)において、10 位にまで順位を上げています。こしいぶきは新潟米に広がりを持たせることに一役買ったのです。

コシヒカリとは異なるおいしさを追求した新品種「新之助」

こしいぶきの開発に成功した新潟県は引き続き、食の多様化に伴うニーズに対して、新たなおいしさを提供できる新品種の開発を進めました。そこで目指したのが、地球温暖化の進行にも備えるため、稲が稔る時期が遅く、収穫期前の暑さを避けることで、食味・品質面で安定しやすい晩生品種を開発することでした。平成20(2008)年に開発が始まった新品種「新之助」は数々の品種の組み合わせから、コシヒカリとは異なるおいしさを追求し、新たな新潟の顔となるべく誕生した米なのです。

新品種「新之助」の開発プロセス

20万株の米から選抜がスタート、最初の選定基準は「米の輝き」

新品種「新之助」の開発は、500 種類の交配によって20万株の品種候補の卵を育成し、食味の特に優れた株を探し出すことからスタートしました。 品種開発中の稲株(個体)は、どれも性質が異なります。米の食味は、炊飯時の米の輝きと約7割相関することがこれまでの研究結果でわかっていました。そのため、株一つひとつの米を炊き、その輝きを確認し、優秀な株を選抜していきました。また、開発をスピードアップするため、温室や石垣島で1年間に2~3回品種候補を栽培し、性質の安定化を図りました。

食味検査による厳しい選抜と猛暑を通過した「新之助」

輝き方で選抜した稲株は、翌年以降、収穫量を増やして食味検査をつづけます。さらに、性質を安定させるために5年間にわたり育成を進め、毎年、米の輝きと食味についてチェックを繰り返します。その結果、選ばれたのが新品種「新之助」です。「新之助」はコシヒカリの遺伝子を25%受け継ぎますが、おいしさのベクトルが異なります。食味試験でコシヒカリと比較されることで、食味が磨かれました。これまでの新潟の品種改良の資産を活かした集大成ともいえる米が誕生したのです。 開発途中の平成22(2010)年は大変な猛暑でした。コシヒカリなど県産米の品質は著しく低下しましたが、「新之助」の品質は落ちることがなく、高温に強い性質が実証されました。

Interview
~新潟県の米研究120 周年を記念する「新之助」の誕生~

新潟独自の「1株ごとに米の輝きを確認」する手法を採用
食味の選抜を早い段階から繰り返す

石崎 和彦

石崎 和彦
新潟県農業総合研究所
作物研究センター 育種科長

阿部 聖一

阿部 聖一
新潟県農業総合研究所
作物研究センター 栽培科長

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